山と海が交わる雄大さにどっぷり浸かるダナン・ソンチャー半島のネイチャーツアー

西はダナン湾、 北と東は南シナ海と接し、 南はダナン市内へと繋がる 、 海に突き出たかたちのソンチャー(Son Tra) 半島。 大小の美しいビーチ、 緑豊かな森林、 多様な生態系がベトナム国内外の多くの観光客を魅了しています。 今回は半島を巡るネイチャーツアーに出かけてみましょう 。

目次

ダナン市内からバイクですぐ自然あふれる癒しのお出かけスポット

ソンチャー半島は、 面積4400ha以上、 平均標高350m。 ダナンの市内中心部から北東に約10km離れた先にあり 、 経済と観光開発の大きな可能性を秘めた地域に位置します。 周辺にはベトナム中部高原やラオスへと繋がる国道14B号線、 国際海上航路を
結ぶティエンサー(Tien Sa) 港などがあります。

 ソンチャー半島は広大な海に囲まれ、防衛と安全保障の面で極めて重要な位置とされています。グエン朝のミンマン(明命/Minh Mang)皇帝は、ダナン湾の東側で出入りする船舶を管理するため、海防要塞の建設を指示しました。 1858年9月、フランスはソンチャー半島を最初の攻撃目標として、ベトナムの侵攻を開始。アメリカがベトナムに軍を派遣した際は堅固な防衛要塞を築き、ティエンサー軍港やレーダーサイトなどの近代化された施設を保有していました。
 1977年には国立自然保護区に指定されました。現在は多くの希少な生物が生息し、ダナンのクリーンな環境を維持する「緑の肺」としてだけでなく、豊かな水資源、森林植生と動物の生態系が発達した地域として知られています。

ソンチャー半島への行き方

 ソンチャー半島内の道は曲がりくねっています。上り坂は強力なエンジンを積んだ車両のみが走行できるため、一般車両のグラブやタクシーではすべてのスポットを巡ることはできません。
バイク
自動変速のスクーターは安全上の理由から禁止。手動変速のオートバイクのみが走行できるルートはあるが、運転が不慣れな人には非推奨。
タクシー
大型の限られた車種のみが走行できる特別ルートあり。運賃はメーターでの計算ではなく、運転手と別途要相談。参考価格は4時間100万VND程度。
ジープ
ジープツアーベトナム(Jeep Tour Vietnam/電:090-110-6407) などが運営する3人乗りのジープツアーに参加。1人3時間で約122万VND(50USD)~。

気軽に立ち寄れる海沿いの定番周遊コース

市内から向かう場合、 東方面へホアンサー(Hoang Sa) 通りを進み、 インターコンチネンタルダナン・サンペニンシュラリゾート(InterContinental Danang Sun Peninsula Resort) へと至る道は比較的平坦で行きやすいです。 沿道の景色を眺めながら 、 ゆっくりと時間をかけて走ることができます。

リンウン寺/Chua Linh Ung

 20haの敷地にあるリンウン(靈應)寺は、2004年に建設が始まり、2010年7月に完成しました。本堂は大きな柱に囲まれた曲線の瓦屋根で覆われ、中央の釈迦牟尼仏、右の観音菩薩、左の地蔵菩薩の3体の像が設置されています。山間に位置し、海に面しているため、自然の雄大さを感じながら穏やかな雰囲気を楽しめます。

2023年現在、ベトナムで最も高い観音像。高さは67mで、直径35mの蓮台を持つ

リンウン寺を出て道を進むと、左手が山並み、右手が海の景色が続きます。


岩のビーチ/Bai Da

 リンウン寺からホアンサー通りを東へ約3km向かった先の分かれ道で、右手の小道の方に進むと、手つかずの穴場ビーチがあります。向こう岸にはダナンの街並みとリンウン寺が見え、澄んだ水とさまざまな形をした黒い岩が重なり合う姿が印象的です。岩はゴツゴツしているので、歩くときは足元に気をつけましょう。

岩のビーチは、細い道を通り、階段を下りてきたところにある

険しい山道を潜り抜けて幻想的な絶景を追い求めるアドベンチャールート

走行するには難易度が高く 、 曲がりくねった道や急斜面が多い、 定番コースとは反対側のルート 。 市内からイエットキエウ(Yet Kieu) 通りに入って進むと 、 周辺の絶景を一望できる高台のスポットにたどり着きます。

イエットキエウ通りを進み坂を上ると、「自動変速バイク禁止」と書かれた看板を掲げる警備所があります。車種などを確認後、問題ないと判断されればバリアゲートを開けてくれます。

森林に囲まれた上り坂は、まるで緑の洞窟への入口のよう。道路沿いには「伐採禁止」の看板があちこちに立っています。

ニャーボンカイン/Nha Vong Canh

警備所を通過したら、最初にひと休憩しながら絶景を楽しめるニャーボンカイン(望景屋)へと向かいましょう。海抜600mに位置し、海に突き出た岩の上に建てられているため、見通しが良
いスポットです。海に沿って湾曲するソンチャー半島の全景が見渡せ、レーダーサイトやさらに遠くにある雄大なハイヴァン(Hai Van)峠も見えます。

ニャーボンカインからは、心地よい風と澄んだ空気を満喫できる
道なりに3km走るとバンコー峰にたどり着きます。「この周辺は道が非常に曲がりくねっており危険。バイクは特に要注意」と警告する標示板が多く見られます。

バンコー峰/Dinh Ban Co

 標高700mに位置し、周囲をパノラマで見渡すことができるダナン地区最高峰のバンコー峰。頂上まで登ると、将棋盤と年老いた仙人の真っ白な石像があります。

仙人が住んでいてもおかしくなさそうな、海と空が1つになる風景が目の前に広がる

バンコー峰の先の道は地滑りしやすいため、これ以上進むことはできません。

バンコー峰の伝説

 昔々、ある年老いた仙人がソンチャーに腰を下ろし、景色を楽しみながら将棋盤を作った。デティック(De Thich)という将棋が得意なもう1人の仙人がやってきて勝負を始めたものの、2人の腕前は素晴らしく数日経っても勝負がつかず。ある日、天から降りて近くの浜辺で遊んでいた妖精たちの笑い声に気を取られ、デティックは間違った手を打ち負けてしまった。勝った仙人は天に帰り、デティックは将棋盤と共に取り残された。

ソンチャー第�レーダーサイト/Tram Radar Son Tra

 帰路は、第2レーダーサイトに寄って外から見学することができます。1960年代にアメリカ軍が建てたレーダーサイトに加えて、2016年に落成した第2レーダーサイトは、監視半径は最大450kmで地域の運航の安全性や空域監視などにおいて重要な役割を果たしています。

遠くから見ると巨大なサッカーボールに見えるレーダーサイト

サルの家族に出会えるかも!
双眼鏡を手に取り、野生動物を発見

標高によって4つの森林地域に分けられた閉鎖的なソンチャー半島には、 約1000種の植物と数百種の動物が生息しています。 中でも有名なのがアカアシドゥクラングールやアカゲザルといった霊長類で、同地区は「モンキーマウンテン」とも呼ばれます。

アカゲザル/Khi Vang

 アカゲザルは、ベトナムのレッドリストとしてはLR(Lower Risk/準危急種)レベルに分類されています。早朝や夕方など、日差しの少ない涼しい時間帯に採餌する習性があります。群れで生活し、1つの群れにはリーダー格のオス1頭を含む10~15頭がいます。

インターコンチネンタルダナンの前が、サルを観察できる場所の1つ

アカアシドゥクラングール/Vooc Cha Va Chan Nau

  「霊長類の女王」とも呼ばれるアカアシドゥクラングールは、インドシナ半島地域でのみ分布する固有種です。ダナン科学技術協会連合とグリーンベト(Green Viet)生物多様性保全センターの調査によると、ソンチャー半島では1300頭以上が野生化しており、ベトナムのレッドリストや世界の国際自然保護連合(IUCN)のリストでは、絶滅危惧種に指定されています。
 高いところでの生活を好み、他種のサルよりも臆病な性格で人間を怖がるため、遠目からしか見られないことが多いです。

ソンチャー半島の象徴的なマスコットとなっているアカアシドゥクラングール
©ソンチャー半島管理委員会

餌を与えず、自然に成長させよう

 近年は、多くの観光客がサルへの餌を持ち込んでいますが、これがサルの生態にマイナスの影響を与えています。餌付けを頻繁に行うと、サルは積極的に餌を探す能力を徐々に失い、群れや個体数の減少につながります。また、餌の種類によっては病原体を含んでいる可能性があり、地方の管理委員会はサルに餌を与えないよう勧告しています。霊長類とその生息環境を守ることが、ソンチャー半島の自然生態系の保護にも貢献できます。

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