今年こそベ トナム流の初詣を体験!ハ ノイ人が訪れるテト定番のスポット へ

辰年となる2024年の旧暦元日は、 西暦2月10日 (土)です。ベトナムの旧正月テト(Tet)は、 1年の新たな始まりを告げ、新年を迎えた瞬間から、多くの人々が幸福や健康、 富などを祈願するために寺院や祠堂を訪れます。今回は、ハノイ市内の人気な初詣スポットを紹介します。

目次

何世代にもわた っ て受け継がれてきたベ トナム の初詣習慣

仏教大国のベトナムは、 家族の伝統に従って寺院や祠堂にお参りに行く習慣があります 。世代から世代へ、仏教を信仰してきた人々にとっては、 特に毎月の旧暦1日と15日や、テトにお参りすることは日常的な行事となっ ています。

 テトは新たな始まりを告げる季節であり、仏教徒でない人も含め、祈りを捧げるために初詣に行く人が多くいます。平和、健康、子どもの学業成績、商売の繁盛など、願い事はさまざまです。
 ベトナムには多様な宗教施設がありますが、旧暦の行事に関係が深いのは、チュア 、デン、ディンといった場所であることが多いです。新年の最初の月、人々がこれらの施設にお供え物を持参し、祈りを捧げる姿はなじみが深い光景です。

Đình

ディン(Dinh/村亭)は、人民や国に貢献した人物や、ある村・職業を創設した人物である「神城隍」を祀る場所です。村人たちが集会を行ったり、地元の祭りを開催したりする場所でもあります。

Đền

デン(Den/祠堂)は、聖人や神として崇められた歴史上の人物を祀る場所です。ベトナムで最も一般的なデンは、国や地方に貢献した英雄の功徳を偲ぶために建てられた施設です。

Chùa

チュア(Chua/寺院)は、仏教の修行や説法を行う場所です。仏教の信者もそうでない人も誰もが訪れ、礼拝しお経を聞くことができます。一部の寺院は、仏舎利を保管したり、偉大な僧侶を埋葬したりする場所にもなっています。

正しい参拝の方法は?
初詣に行く前に覚えておきたいこと

デンとディンは、比較的に小規模で、祀られている主な人物は通常1~2人。一方、チュアでは、仏陀のほか、それぞれの施設によって神や聖母なども祀られているので、参拝の順序や作法に注意が必要です。

寺院での参拝の順序

スダッタ(ベトナム語:ドゥックオン/ Duc Ong)祭壇に供物を置き礼拝を行う。
本堂の三宝尊(ベトナム語:バンタムバオ/Ban Tam Bao)に供物を置き礼拝を行う。
その他の神や聖母の祭壇に供物を置き礼拝を行う。

祖堂で礼拝を行う。

集会室で僧侶へ挨拶し、功徳箱に賽銭を入れる。

知っておくべき初詣の参拝マナー

服装
●服装は、袖のあるトップと丈の長いボトムス・ワンピースが必須。肌の露出が多い服は禁止。

参拝
●三門をくぐって寺院に出入りする際は、右の扉から入り、左の扉から出る。
●本堂の手前に香炉が設置されることが多く、お線香はお堂の中ではなく、この場所であげれば済む。
●礼拝する際は、祭壇の前の真ん中に立つのではなく、どちらかに寄って立つ。

供物
●肉や魚、酒のある供物は、神や聖母を祀る祠堂や亭のみで供える。寺院では、線香とともに、花、果物、菓子を供える。
●供花は、野の花やとげのある花ではなく、百合、蓮華、菊などの生花を供える。

賽銭
●冥銭は、仏壇ではなく、スダッタや神、聖母の祭壇で供える。
●賽銭は、祭壇と本堂ではなく、設 置された「Hom Cong Duc /功徳箱」と書いてある賽銭箱に入れる。

市外からも参拝者が多く集まるハノイ最強の 「チュア」

ハノイには古くから建てられ、非常に霊験あらたかな場所とされている有名な寺院が数多くあります。テト期間中や毎月の旧暦1日と15日は、市内外から多くの人々が参拝に訪れます。

クアンスー(舘使)寺/ Chua Quan Su

住: 73 Quan Su, Hoan Kiem
ベトナム仏教で重要な役割を果たす寺院

 ハノイで最も有名な寺院の1つで、ベトナム中央仏教会の本部としても機能しています。レーテートン(Le The Tong /黎世宗)王朝時代(1573年~ 1599 年)、タンロン(Thang
Long /昇龍、現ハノイ)への外国使節を歓迎するための施設として建設され、これらの使節は敬虔な仏教徒であったため、仏教儀式を執り行うことができるように敷地内には仏塔も建てられました。前殿には仏陀が祀られ、後殿にはリー(Ly /李)朝の仏教組織の代表者であったミンコン(Minh Khong /明空)国師が祀られています。

仏法を常に守り、神や聖母を崇拝しない寺院として知られる

バーダー寺/ Chua Ba Da

住: 3 Nha Tho, Hoan Kiem
小さな路地の奥にひっそりと佇む寺院

 三門のあるベトナムの典型的な寺院建築とは異なり、入り口はハノイ大聖堂のすぐ近くにある小さな通路です。伝説によると、レータイントン(Le Thanh Tong /黎聖宗)王の時代(1460年~1497年)に城塞を建設した際、女性の形をした石像が発見され、民衆はこれを聖母と崇め、その場所にバーダー(石の女)寺を建設。後にリンクアン(Linh Quang /霊光)寺と名付けられたとのこと。1958年にベトナム統一仏教協会が設立された後は、ハノイ市仏教連絡委員会の本部、そしてハノイ市仏教会の本部となりました。

バーダー像はフランス植民地時代に消失し、代わりに釈迦牟尼像が安置された

ヴァンニエン(万年)寺/ Chua Van Nien

住: 364 Lac Long Quan, Tay Ho
都心で千年以上の歴史がある寺院

 リータイトー(Ly Thai To/李太祖)王がタンロンに遷都した間もない 1014 年に建てられ、当初の名称はヴァントゥエ(Van Tue /万歳)寺でした。タイ(Tay/西)湖の側にある正門と、ラックロンクアン(Lac Long Quan/貉龍君)通りの
副門があります。リエウハイン(Lieu Hanh/柳杏)聖母が祀られている殿と西蔵密宗の建築様式で建てられた本堂があり、湖と木々が織りなす穏やかな風景は、仏教徒だけではなく多くの観光客も魅了しています。1996年、文化スポーツ観光省により国家建築芸術遺跡に指定されました。

他の2つの寺院の間に位置し、正門は広大なタイ湖に面している

キムリエン(金蓮)寺/ Chua Kim Lien

住: Tu Hoa, Tay Ho
タイ湖の住宅街にある閑静な雰囲気の寺院

 12世紀のリー朝時代、リータントン(Ly Than Tong/李神宗)王は、娘のトゥーホア(Tu Hoa /慈花)公主とその女中たちが桑を育て蚕を飼うために、トゥーホア宮殿の建設を命じました。公主が亡くなると、チャン(Tran /陳)王朝時代(1225年~1400年)にその敷地上に寺院が建てられました。トゥーホア公主とその他の神々を祀り、何百年もの間、典型的な封建時代の建 築 様 式 を 保 って い ま す。1962年に、初めて文化スポーツ観光省によって国家歴史文化遺跡として認定された12の遺物の1つです。

中庭は広々としており、たくさんの木々が植えられている

キムソン(金山)寺/ Chua Kim Son

住: 73 Kim Ma, Ba Dinh
バーディン区の主要寺院の1つ

 キムマー(Kim Ma)通りとザンバンミン(Giang Van Minh)通りの交差点角にある寺院。以前は処刑場兼墓地であり、その精霊を祀るために小さな祠堂が建てられ、1789年にクアンチュン(Quang Trung /光中)皇帝が清軍を破ったゴックホイ=ドンダー(Ngoc Hoi – Dong Da)戦いで死亡したタイソン(Tay Son/西山)兵士の埋葬地になりました。1881年に仏塔として改築され、1898年にキムソン寺と命名されました。毎年、兵士と殉教者の命日である旧暦の1月5日は、住職が祭壇を設置し、犠牲になった人々の崇拝を行います。

敷地内には池と多くの緑の木々があり、平和な風景を作り出している

ラン寺/ Chua Lang

住: 116 Chua Lang, Dong Da
近隣住民の来訪で常に賑わう広大な寺院

 正式名称はチエウティエン(Chieu Thien/昭禅)寺で、古代のラン村にあることからラン寺として親しまれてきました。墓碑銘によると、リータントン王の息子であるリーアイントン(Ly Anh Tong/李英宗)王朝時代(1138年~1175年)に建てられました。1.8haの広大な敷地にあり、仏陀を祀るほか、高僧であったトゥーダオハイン(Tu Dao Hanh /徐道行)禅師とリータントン王を祀っています。1962年に国家歴史建築遺跡に指定され、2019年には毎年旧暦3月に行われるラン寺祭りが国家無形文化遺産に認定されました。

都心ではなかなか見られない、昔からの村の門と竹藪が現在でも残されている

ハー寺/ Chua Ha

住: 86 Chua Ha, Cau Giay
ハノイ一の縁結びの聖地

 正式名称はタインドゥック(Thanh Duc/聖徳)寺で、リー朝またはハウレー(Hau Le/後黎)朝時代に建てられたとされています。葉っぱで屋根を葺き、壁は低品質の煉瓦で造られ、戦争による大きな破壊に見舞われました。1680年、バクザン(Bac Giang)省の商人一家から多額の寄付金を受け、瓦で修復されました。仏陀、武将、村の守護神を祀っており、恋愛にまつわる人物は祀られていませんが、恋愛成就に利益があるとされ、ベトナム北部で最も有名な縁結びスポットになっています。

自分の名前を短冊に書く恋愛の祈祷は、一年を通して多くの若者によって執り行われる

国に貢献した歴史上の人物を祀りハノイの四方を守り続ける「デン」

タンロン城の東、西、南、北を守護する4神を祀 る4つ の デ ン(祠 堂)は、「昇 龍 四 鎮/Thang Long Tu Tran」と呼 ばれています。2022年、ベトナム首相により昇龍四鎮含む全国5つの遺跡を特別国家遺跡に指定することが決定しました。

バックマー(白馬)祠/Den Bach Ma

住: 76 Hang Buom, Hoan Kiem
タンロンの神城隍が東を守る

 9世紀にロンドー(Long Do/龍肚)神を祀るために建てられた祠堂。伝説によると、リータイトー王がタンロンに遷都した際、城塞を築いたものの、何度も事故が発生。祠で祈りを捧げると、一頭の白馬が現れ、行く先々に足跡を残して姿を消しました。それを見た王は、その足跡をたどって築城し、大成功を収めたため、祠の名前を白馬に変更し、タンロンの神城隍としてロンドー神を祀っています。毎年旧暦の2月12日と13日に、民間の信仰文化と王室の儀式を再現した祠堂の祭りが行われます。

白馬の像は祠堂の中央に位置し、多くの精巧な細工物に囲まれている

ヴォイフック祠/Den Voi Phuc

住: 362 Kim Ma, Ba Dinh
戦争の英雄であるリンラン大王が西を守る

 正式名称はタイチャン(西鎮)祠 で、リー タイントン(Ly Thanh Tong /李聖宗)王が宋軍を倒すのを助け、命を犠牲にした人物であるリンラ ン(Linh Lang / 霊郎)大王を祀る場所です。その功績を称えるため、リータイントン王はリンランを「上等神」に叙位し、1065年に祠堂を建立しました。門の前に伏せている2体の象の石像が設置されていることから、ヴォイフック(象伏)祠と呼ばれるようになりました。毎年、リンラン大王の貢献を記念するため、地元の人々は旧暦2月9~11日に祭りを開催します。

トゥーレー(Thu Le)動物園の隣に位置し、敷地内から広々とした湖を見渡せる

キムリエン(金連)祠/Den Kim Lien

住: 148 Kim Hoa, Phuong Lien, Dong Da
ベトナム人の祖先の息子が南を守る

 祠堂の文献や碑文によると、ラクロンクァンとアウコー(Au Co/嫗姬)の100人の子どもの1人であるカオソン(Cao Son/高山)大王を祀る場所であることが示されています。レートゥオンズック(Le Tuong Duc/黎襄翼)王朝である1509年に、宮廷内は混乱し、王は避難し征服のために軍隊を派遣しました。軍隊がニンビン(Ninh Binh)省にあるカオソンを祀る寺院にたどり着き、祈りを捧げたところ、1週間以内に王は王位を取り戻すことができ、カオソンへの感謝を表すために、現在の位置で祠堂を建設しました。

聖母を祀るお堂もあり、手前には井戸が設けられている

クアンタイン(舘聖)祠/Den Quan Thanh

住: 190 Quan Thanh, Ba Dinh
ハノイの観光名所となった北を守る祠堂

 正式名称はチャンヴークアン(Tran Vu Quan/真武觀)であり、タインニエン(Thanh Nien)通りとクアンタイン通りの交差点に位置し、タイ湖の向かい側にあります。リータイトー王がタンロンに遷都した初期に建設され、王や民衆に悪霊や妖 怪の退 治 を助 ける神であるフエンティエンチャンヴー(Huyen Thien Tran Vu/玄天真武)が祀られています。地
元の人々は毎年旧暦の3月3日と9月9日に、その功績を記念するためにクアンタイン祠祭りを開催します。

入 場 券(1人万VND)は、入口の左側にある案内窓口で購入できる

地元の神々が祀られ村人の暮らしを身近に感じられる「ディン」

ディン(村亭)は、村の課題を話し合うための集会所だけでなく、地元の神を崇拝するなどの宗教活動の場でもあります。毎年開催される祭りは、古代ハノイの歴史的・文化的価値を伝えます。

ナムフオン(南香)亭/Dinh Nam Huong

住: 75 Hang Trong, Hoan Kiem
賑やかな旧市街に佇む安らぎの空間

 ホアンキエム湖岸のすぐそばにあり、遺跡管理委員会の資料によると、ロンドー神、カオソン大王、リンラン大王、リー朝の公主、グエン(Nguyen/阮)朝の王公の5人の神を祀るために、ハウレー朝末期に建てられました。フランス植民地時代に破壊されましたが、その後、フランス保護領となった際に再建されました。現在、ハウレー朝、タイソン朝、グエン朝による5つの上等神への19の冊封など、17~18世紀の芸術を特徴とする数多くの貴重な遺物が残されています。

入口の中央には、目を引く色鮮やかな五虎の絵が飾られている

イエンフー(安阜)亭/Dinh Yen Phu

住: Yen Phu, Tay Ho
地元の人々に敬愛される村亭

 タイ湖沿いの半島にあり、チャンタイントン(Tran Thanh Tong/陳聖宗)王の息子とされ、越蒙戦争で多大な功績を収めたウイリンラン(Uy Linh Lang)大王、ヴオンズイ(Vuong Duy)大王、ヴオンバー(Vuong Ba)大王の3人の神城隍を祀っています。洗練された鮮やかな彫刻が特徴で、17世紀の芸術風情を色濃く残しています。2006年、イエンフーの住民や観光客からの寄付により、大規模に修復されました。毎年旧暦の2月10日に、亭の祭りが開催されます。

旧イェンフー村の村民が暮らし、居住用のスペースも設けられている

ダイイエン(大安)亭/Dinh Dai Yen

住: 279 Doi Can, Ba Dinh
地元の女英雄を崇拝

 12~13世紀に建てられたと伝えられており、ゴックホア(Ngoc Hoa/玉花)公主を祀った場所です。ゴックホアは魚売りの娘で、9歳の時に少年に変装して父に従い、侵略してきた敵と戦闘。大きな功績を残し、死後に王から公主の称号を与えられました。グエン朝の芸術様式を踏襲した建築様式で、何度も大規模な修復が行われており、1990年、国家建築芸術遺跡に指定されました。毎年旧暦の3月13日と14日に行われるダイイェン村祭りは、地域内外から多くの人々が集まります。

敷地内には、神聖視される巨大なガジュマルの木がある

ウンティエン(應天)亭/Dinh Ung Thien

住: 151 Lang Ha, Dong Da
不動産売却で利益が得られるとされる村亭

 ランハー(Lang Ha)通りの端の路地にある亭で、1069年の占城征服の際にリータイントン王を助けた后土地母神を祀るために建立されました。ハウレー朝の後半には、神城隍を崇拝する宗教文化が強く発展し、ランハー村の集会の場として使用できように改修が行われ、グエン朝時代の1890年に最後に修復されました。毎年、后土地母神の功徳を記念するために、旧暦3月6日から8日まで亭の祭りが開催されます。1984年、ハノイ人民委員会により、都市芸術建築遺跡に指定されました。

戦争で命を捧げた戦士たちを祀る石碑も設置されている

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